Yoshikatsu Yagishita Photo Exhibition
肩が触れる距離
ヤギシタヨシカツ 写真展|Mumbai, India
一昨年、インドのムンバイを歩いた。
やっと手に馴染み始めたライカを連れて。
あの街では、人と人の間に距離がない。最初は戸惑い、やがて、その近さに身を預けるようになった。
街を歩いていると、しょっちゅう声をかけられた。「俺を撮ってくれ」「うちの子を撮ってくれ」。撮ると、彼らはお礼にチャイを買ってきた。ポリ袋から地面の紙コップへ、一杯ずつ注ぎ分けて。名前も知らないおじさんと肩を並べて、驚くほど熱い甘い茶を飲んだ。言葉はほとんど通じない。それでも紙コップは、確かに私の手にも届いた。
撮ることは、奪うことではなかった。あの街の懐にしばし預けられて、肩の触れる距離から見させてもらった、ということだ。
ここに並ぶのは、そんなムンバイの、ささやかな一瞬たちです。
会場では、インドの珈琲豆もお分けしています。あの紙コップの、遠い分け前のようなものとして。
肩が触れるほど近い距離で出会った、ムンバイの人々と街の時間。
珈琲とともに、ゆっくりご覧ください。
